September 18, 2009, 3:34 pm
Posted by:ck
Category: 本、映画
Remains of the Day

wowwowで映画’REMAINS OF THE DAY”を見る。
カズオイシグロの原作に基づく映画は、アンソニーホプキンズとエマトンプソンが主演。原作は、イギリスに渡って、おそらく最初に読んだ小説だ。
当然、著者にも興味を抱いた。日本で生まれ、5歳でイギリスに渡り、ミュージシャンを志し、諦め、3番目に書いた長編の"REMAINS OF THE DAY”で、栄えあるブッカー賞を受賞。
この小説によって、わたしはイギリスの階級社会について沢山のものを学んだ。
著者が日本に生まれたせいなのかどうなのかわからないが、外部の目が有効活用されていると思う。
主人公が執事、というのがポイントだ。

貴族に使える執事が主人公。昔の同僚で密かに想いを寄せていた女性を訪ねようと思い立つところから物語は始まる。20年前、二人が一緒に仕えていたのは、イギリスの政界を動かすほどの影響力を持っていた貴族。

食後酒を飲みながら、政治は国民みんなのもの、つまり民主主義のあり方について、議論する場面がある。そこで突然、貴族のひとりが食後酒を注いでいる主人公に向かって、外交、経済について矢継ぎ早に質問する。当然、何を聞かれているかもわからない執事は、当然恥をさらすことになる。それを見て、ほくそ笑む貴族たち。ほらみろ、民主主義と言っても、庶民に何がわかる?理解するだけの教養もない、というわけだ。
まあ、おそらくイギリスの政界、財界を動かす人の大半は、今でもこういうメンタリティーだろう。かつて貴族を中心にしていたとすれば、今は大学、財力次第で、ある程度支配階級に帰属できる。でも、基本は同じだ。
握手を求めてきたからと言って、相手が自分を同等に見ているかというと、必ずしもそうではない。イギリス文化を知ろうと思えば、ここからスタートした方が間違いないと、わたしは思う。
主人公が忠誠を尽くすがあまりに、時代の波から乗り遅れ、傷ついたように、まじめで誠意ある日本人も、注意しないと勝手に支配されてしまう。語学力の問題じゃない。要は、相手のゲームにのらず、日本人を貫き通せるかどうか.。

ちなみに、カズオイシグロの新作は、人種を越えて、ヒトという種、クローン人間の問題を扱っているらしい。アイデンティティーについて、数十年後には、まったく違うレベルの心配が出てくるのでしょうね。
kiera knightley主演の映画も、楽しみです。

September 4, 2009, 6:14 pm
Posted by:ck
Category: アート
ASAHI CAFE NIGHT

今日は、ASAHI CAFE NIGHTというイベントに参加。
随分前の話になるが、”宇宙船とカヌー”というタイトルのテレビ用のドキュメンタリーをつくったことがあり、その時に一緒に仕事をさせていただいた芹沢高志さんがコーディネーターをつとめるというイベントだというので、隅田川めざして出かけた。
フイリップスタークの建物にも興味があった。スタークがデザインしたアサヒビールの建物は.......詳細は省くが、単純に面白かった。ニューヨークやロンドンの同じくスタークデザインによるカッコつけたホテルよりも、なんだか好きだった。ヨルが似合う建物かも知れません。

そして、本題のカフェナイト。この日のテーマは、”地域とアート”。
ゲストスピーカーは、徳島の神山という街で、アートによる街の活性化を実践していらっしゃる大南さんという方と、鹿児島県、甑島でKOSHIKI ART PROJECTを主催していらっしゃる平嶺さん。
過疎が生み出す地方の衰退。連鎖して起こる大切な自然の破壊。
その流れを食い止め、地方に新しい息吹を吹き込むための手段としてアートを使う。言うのは簡単だが、調査、交渉を伴う大変な作業を、ここまで成したげたことに対しては、脱帽。しかも、さらに先の未来に向かって、さらに大きく展開させようと言うのだから、並のパワーじゃない。

日本の風土、自然については、ここでは書き切れないくらいの沢山の想いを最近抱いている。しかし、週末だけ畑を借りて有野菜をつくろうとか、そういう発想にはならないのだ。そんなヤワな発想では、どうにもならないくらい、重いテーマのはずだ。その重いテーマといつも向き合っている地方の現場の声が聞けて、沢山の刺激をいただきました。

今朝になって、tkが武満徹の文章を送ってくれました。
素晴らしい文章の最後の部分からの抜粋です。
”音楽は無力だ。ただ、音楽を通して得られた人間的信頼や理解を、より確かな経験として深めることで、暫くは、絶望までの距離を保つことができるだろう。”

まさにそういう気持ちです。そういう気持ちで、明日からまたがんばれそうです。

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亀井登志夫と亀井知永子のユニットyongen。tkが曲をckが詞を書く。 長いロンドン生活にピリオドを打ち、東京に帰ってきた。 日々の暮らしの中から生まれるyongenの音楽。

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